母の話社会教育と道徳 本郷青蛙道徳見聞録 Home Page

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 人格の基礎部分は母によって育まれ、棺桶に片足を突っ込むこの歳になっても、母の言葉は覚えている。

母は私にこう言った。

 人生で常に心掛けなければならないことは
 自分のしている事が、どこかで、どなたかに、迷惑を掛けはしないか?迷惑を掛ける事をしてはいけません!

 小学生に言うような言葉ですが
 嘘をついてはいけません
 約束を破ってはいけません
 欲深く、ひとのものを欲しがってはいけません

 私の如き若輩者にはピンと来ませんでしたが
 人生の半分は、自分のために働きなさい
 あとの半分は、損得抜きで人様のために働きなさい

 人生で成し遂げる事とは
 金持になることでは有りません
 名誉を得ることでもありません
 沢山の仕事をする事でもありません
 人様にどれ程感謝される事をしたか!感謝されたか!です

 死後に悪評が残ります
 どんなに金持になっても、名誉を得ても、沢山の仕事をしても、死んでしまえばお終いです。人を押しのけ無理をしているのだから、残るのは恨みや悪評だけです。ご先祖を汚します。

 死後に好評が残るのは
 人様に感謝される事は、死んでも無くなりません。死後には却って感謝の評判が大きくなって、ご先祖をたたえ、遺族を幸福にします。

 働くことは
 自分のために働くのは、誰にでも出来ることです。犬や猫だって自分のために働いているのです。
 犬猫とは違う本当のひとは、損得抜きで他人様のために働く人を言いうのです。

 新古今和歌集と徒然草と
 読み古した新古今和歌集と徒然草の二巻の本を私にくれました。そしてこう言いました。
 人は感情の機微を養わなければ成りません。その為に新古今和歌集を何度も何度も読みなさい!世渡りを知りたかったら、徒然草を読みなさい。

 相手がしたから、こちらも
 相手がしたから、こちらはこうする!受けて立つ!これは愚か者がすることで、賢い人のすることではありません。相手がどうであろうと構いません。お前は、いま此処で母が話したことを心の柱として生きなさい!

 自分と同じような人が集まる
 ひとは同じような人が集まります。自分が嘘つきだと、嘘つきが集まります。優しいと優しい人が集まります。賢いと賢い人が集まります。
 汚い水には、汚い水に棲む魚ばかりが集まるから、世の中みんな汚い水に棲む魚ばかりと思います。綺麗な水に棲む魚を知らないのです。

 母の言葉は、小学生に話すようにも聞こえますが、青二才には難しい話でした。でもその言葉は、人生の柱として十分な教訓でした。

 私の知る母は、よく父と精神論を戦わせていました。私の知る母は病身でしたが、父をたじろがせる程の教養を身につけていたのです。

 母はこう言いました。
 舅と姑は私の好いところだけを看てくれました。生まれも育ちも違う家から嫁に来たのだから、異なるところが多多あるのは当然ですが、舅も姑もその事は一言も言いませんでした。でも長年の中には、嫁ぎ先の家風に染まってしまいました。
 お前も妻を娶ったら、好いところだけを探しなさい。長年の中には、好いところだけに染まると思いますよ!息子に嫁が来たら、母が舅や姑からされたように、好いところだけを探してあげなさい。きっとこの家の家風を修めた嫁になりますよ!